イベント情報

2021年度先端モデル動物支援プラットフォーム
「成果発表会」報告

成果発表会実行委員長
山田泰広(東京大学医科学研究所)

2022年2月2日〜3日の2日間、滋賀県琵琶湖ホテルおよびオンラインによるハイブリッドにて2021年度「先端モデル動物支援プラットフォーム AdAMS」成果発表会が開催された。全国から合計201名(現地:66名、Web:135名)の参加があった。今回の成果発表会では、基調講演1題、特別講演2題に加えて、各支援活動班が支援した研究者10名からの研究成果の発表を行った。参加者からは15題の一般口演ならびにポスター34題があり、活発な議論が行われた。

2月2日には、開会挨拶に引き続き、生理機能解析成果WS1として柳川右千夫 先生(群馬大学大学院医学系研究科)の成果報告の後、6題の一般口演発表が行われた。その後、分子プロファイリング成果WS1として福田勉先生(長崎大学環境保全センター)から、さらに病理形態解析成果WSとして中村信嗣先生(香川大学小児科学講座)、遠藤良先生(理化学研究所脳神経科学研究センター)からの成果報告が行われた。いずれも最新成果の発表とともに活発な質疑応答がなされた。引き続き特別講演1として大島正伸先生(金沢大学がん進展制御研究所)からマウスリバースジェネティクスを駆使した大腸癌研究についてご講演いただいた。ご自身が切り開いた大腸癌研究の紹介のみならず、ナノスケールの顕微鏡的観察から大腸癌オルガノイドの硬さを考察した最新の研究成果をご紹介いただいた。引き続き田中啓二先生(東京都医学総合研究所)により基調講演が行われた。「私のプロテアソーム研究 〜温故知新〜」とのタイトルでのご講演は、田中先生のご研究がまさにプロテアソーム研究の歴史そのものであることを再認識させるものであった。プロテアソーム研究のダイナミックな発展の歴史が目の前で展開され、圧倒された。例年1日目夜に開催される懇親会は残念ながら開催できなかったが、休憩時間には会場各所で研究者同士の活発な交流が行われた。


田中啓二先生
(東京都医学総合研究所)

大島正伸先生(金沢大学)

佐々木裕之先生(九州大学)

2月3日午前中は4題の一般口演発表後に分子プロファイリング成果WS2、WS3として清水孝恒先生(星薬科大学薬学部)および岩崎信太郎先生(理化学研究所開拓研究本部)から、さらに生理機能解析成果WS2として酒寄信幸先生(広島大学大学院医系科学研究科)から成果報告が行われた。その後、佐々木裕之 先生(九州大学生体防御医学研究所)による特別講演2が行われた。遺伝子改変マウスの精緻な解析によるゲノムインプリンティングでのDNAメチル化の分子機構について最新の知見も含めてご紹介いただいた。ゲノムインプリンティング研究に魅せられ、研究領域を開拓、先導してこられた歴史をご紹介いただいた。若手研究者のみならず我々にとっても教育的な講演であった。集合写真撮影、昼食の後は、34題のポスター発表が行われた。ポスター会場ではソーシャルディスタンスを意識しながらも、途切れることなく活発な議論がなされた。ポスター発表ののち、5名から口頭発表が行われた。モデル動物を最大限に駆使した最先端の研究や本プラットフォームでの支援活動の成果が次々と紹介された。最後に、モデル動物作製成果WSとして、鈴木美穂先生(名古屋大学大学院医学系研究科)、石黒啓一郎先生(熊本大学発生医学研究所)、大守伊織先生(岡山大学学術研究院教育学域)から成果報告がなされた。最後にAdAMS総括班の中村卓郎先生(がん研究会がん研究所)から、若手優秀発表者に対して表彰が行われ、その後、AdAMS研究支援代表の井上純一郎先生(東京大学医科学研究所)の挨拶で閉会となった。


柳川右千夫先生(群馬大学)

福田勉先生(長崎大学)

中村信嗣先生(香川大学)

遠藤良先生(理化学研究所)

清水孝恒先生(星薬科大学)

岩崎信太郎先生(理化学研究所)

酒寄信幸先生(広島大学)

鈴木美穂先生(名古屋大学)

石黒啓一郎先生(熊本大学)

大守伊織先生(岡山大学)

以上のように、今回の成果発表会では、AdAMSによる支援活動で得られた数多くの研究成果が報告された。動物モデルを用いた個体レベルでの研究について、様々な研究領域から最新の研究成果が発表された。本年度で6年目を迎える本支援活動による目覚ましい研究成果が次々と報告され、AdAMSの支援実績を実感する成果発表会となった。

今回の成果発表会は、コロナウイルスオミクロン株による感染者数がピークを迎える時期と一致する最悪のタイミングでの開催となったが、感染防止対策を十分に行った上でオンサイトでの開催を残すこととした。このような状況下においても予想を大きく上回る66名が現地にご参加いただいた。コロナ禍においてオンラインでの情報交換は容易になったものの、研究者同士の緊密な交流は分断されてきたように思う。今回、現地での研究者間の交流を見て、直接顔を合わせての情報交換、議論が重要であることを認識することとなった。AdAMSで支援された研究者間の交流を介して、さらに新たな共同研究が始まる可能性を感じさせるものであった。

最後に、成果発表会開催にあたって支援をして頂きました、AdAMS代表の井上純一郎先生、中村卓郎先生をはじめとする総括支援班の先生方に感謝致します。またコロナ禍の難しい時期での開催にあたって、考えうるあらゆる感染防止対策を実施いただいた平野尚子さま、藤田豊子さまをはじめ事務局の皆さまに感謝致します。

【受賞者】


優秀ポスター賞(3名):
川淵公美子(大阪大学大学院医学系研究科)
田中美和(がん研究会がん研究所)
藤井一希(富山大学学術研究部)

優秀口演賞:
田中宏樹(旭川医科大学病理学講座)

【当日の様子】


実行委員長:
山田泰広(東京大学)


領域代表:
井上純一郎(東京大学)




中村卓郎(がん研究所)

成果発表会事務局スタッフ
東京大学医科学研究所 山田研究室の皆さん

後列左から、田口純平、山田泰広(実行委員長)、太田翔、長田巧平
前列左から、島田由衣、伊東哲史

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