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イベント情報

2026年度「若手支援技術講習会」を終えて 

若手支援技術講習会実行委員長
近藤 豊(名古屋大学 大学院医学系研究科)

2026年9月1日〜3日の3日間、蓼科グランドホテル滝の湯で「先端モデル動物支援プラットフォーム主催 若手支援技術講習会」を開催しました。例年、天候に悩まされることも多いこの講習会ですが、今回は悪天候の影響を受けることなく、予定どおり開催することができました。

今年も「研究交流を楽しむ」という気持ちを持った101名の若手参加者と、特別講演・招待講演・テクニカルセミナーの講師を含む35名のスタッフが集まりました。この講習会では、発表そのものだけでなく、その後の議論を大切にしています。今年も「発表時間は厳守、質疑応答は十分に」というスタイルで進めましたが、発表が終わるたびにマイクの前には質問者の列ができ、用意した時間内には質問しきれない場面が何度もありました。しかし、そこで終わらないのが合宿形式のよいところです。議論の続きは、口演発表者のポスターも掲示されているポスター会場へ。休憩時間にも食事の前後にも、発表者を囲んで熱心に話し込む姿があちこちで見られました。ポスター会場は連日盛況で、口演とポスターの垣根なく研究の話が続いていくのも、この講習会ならではの魅力です。

恒例の「きっかり3分間トーク」では、制限時間を1秒でも超えることは許されません。ポスター発表者から選ばれた15名の若手研究者が、この厳しいルールのもとでトークに挑戦しました。限られた時間の中で、それぞれの研究の面白さをどう伝えるか。工夫を凝らしたハイレベルな発表が次々と繰り広げられました。

そして今年は、新企画として「ミッドナイト相談室」を設けました。若手PIや支援班の先生方に相談役として加わっていただき、「研究支援」「研究費獲得必勝法」「キャリアパス」など、日頃なかなか聞けないことを直接相談できる場としました。夜も更ける中、会場に設けられたデスクでは、若手参加者と先生方がじっくり話し込む姿が見られ、初日から盛況となりました。

プロフェッショナル講演は、特別講演に加え、長年研究をリードしてこられた研究者1名と、新進気鋭の若手研究者5名による講演で構成されました。

【特別講演】

特別講演では、岡野栄之先生(慶應義塾大学)が、基礎研究から、脊髄損傷患者の回復を目指す革新的な医療開発へと至る研究の歩みをお話しくださいました。研究に取り組むことの意義を改めて考えさせられる内容で、講演直後には20名以上から質問が寄せられ、その反響の大きさが印象に残りました。


【招待講演】

武川睦寛先生(東京大学医科学研究所)には、生体内情報伝達ネットワークの制御機構から、その破綻に伴う疾患研究の最前線まで、幅広くご解説いただきました。若手研究者に向けたメッセージも自然と腑に落ちるもので、参加者からも大変好評でした。

若手研究者の講演では、優れた研究を展開され、参加者にとって身近な目標となる方々にご登壇いただきました。小長谷有美先生(理化学研究所)には、一細胞レベルの染色解析法を駆使し、腸管上皮の細胞種構成がどのように形成・維持されるのかを探る、興味深い研究をご紹介いただきました。小関準先生(岡山大学/産業技術総合研究所)には、独自に開発された構造機能解析法による分子結合部位の探索と、AI創薬への展開の可能性をご紹介いただきました。倉谷歩見先生(大阪大学微生物病研究所)には、腫瘍免疫におけるTh1型制御性T細胞(Th1-Treg)のユニークな機能と誘導機構について、オリジナリティあふれる研究をご紹介いただきました。本講習会の実行委員でもある上阪直史先生(東京科学大学大学院医歯学総合研究科)には、シナプス刈り込みのメカニズムから、抑制性シナプスによる脳腫瘍抑制という最新のCancer Neuroscience研究まで、わかりやすくご解説いただきました。町谷充洋先生(国立がん研究センター研究所)には、hTERTがもつテロメラーゼ活性とは異なるRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)活性と、そのがん細胞における新たな役割、さらにその活性を標的とする研究についてご紹介いただきました。いずれも躍動感あふれるご講演で、私自身も心躍らせながら拝聴いたしました。

【テクニカルセミナー】

技術支援を紹介するテクニカルセミナーでは、各技術の概要にとどまらず、応用展開の可能性や、それらを活用した最先端の研究についてもお話しいただきました。二口充先生(山形大学)には、病理形態解析支援について、病理学研究者としての経験に基づく基礎的な視点をわかりやすくご解説いただきました。さらに、病理学の知見を動物モデルの研究へと展開し、真理の探究につなげていく道筋をお示しいただきました。田口純平先生(京都大学大学院医学研究科)には、モデル動物作製支援について、独自の遺伝子操作技術を用いて作製したES細胞の研究への活用を、具体例を交えてご説明いただきました。井手聡一郎先生(東京都医学総合研究所)には、疾患モデル動物を用いた行動実験の評価と、その結果を適切に解釈することの重要性を、わかりやすくお話しいただきました。馬島哲夫先生(がん研究会がん化学療法センター)には、分子プロファイリング支援の一環として、化合物処理による遺伝子発現変動を既知の阻害剤のデータと比較し、その類似性から化合物の標的分子経路や作用機序を推定する手法について、興味深く有用なお話をいただきました。

さて、私が実行委員長を務めて5回目の開催となりました。毎年の熱気を支えているのは、実行委員、ファシリテーター、サポートスタッフの皆さんです。忙しい日々の中、若手研究者のために無償で時間と力を注いでくださる。その積み重ねが、この講習会をつくっています。さまざまな課題を解決し、運営を支えてくださる事務局の皆さんにも、改めて感謝いたします。そして、この講習会を活気づけているのは、参加する若手の皆さんです。生き生きとサイエンスを語り合い、新たなつながりを楽しむ姿は、運営に携わる私たちにとっても、何よりの励みとなっています。

また、試行錯誤を重ねる私たち実行委員の取り組みを力強く支えてくださったAdAMS研究支援代表者の武川睦寛先生(東京大学)、総括支援の清宮啓之先生(がん研究会がん化学療法センター)をはじめ、AdAMS関係者の皆様には、この場を借りて心より感謝申し上げます。

参加者の皆さんから寄せられたアンケートを拝見すると、改善すべき点に気づくとともに、「来年はこんなことを試してみたい」と意欲が湧いてきます。2027年度は、私が実行委員長を務める最後の若手支援技術講習会(蓼科)となります。皆さんの声を生かし、さらに充実した講習会にしようと、すでに準備を始めています。来年の蓼科にも、どうぞご期待ください。

受賞者

ベストディスカッサー賞(2名)

・則竹 康佑さん 京都大学大学院 医学研究科
・森口 裕太さん 金沢大学大学院 自然科学研究科

ベストプレゼンター賞(口頭発表)(2名)

・薗部 亮祐さん 名古屋大学大学院 医学系研究科
・中村 彩音さん 公益財団法人がん研究会 がん化学療法センター

ベストプレゼンター賞(ポスター発表)(3名)

・明田 伊鳳さん 同志社大学大学院 生命医科学研究科
・中村 優希さん 産業技術総合研究所 細胞分子工学研究部門
・山口 叶大さん 富山大学 和漢医薬学総合研究所

きっかり3分間トーク賞(1名)

・長谷川 愛美さん 東京大学 先端科学技術研究センター

当日の様子

発表後には質問者の列ができ、活発な質疑応答が繰り広げられました。

今年度初の試み:ミッドナイト相談室(キャリア支援相談など)

当日の運営をサポートして下さった皆さん、3日間ありがとうございました。お疲れさまでした!

【参加者の声】

本講習会の感想

  • 合宿形式の講習会の参加は初めてで、様々な分野や年齢層の研究者と発表以外の場で研究について議論できた点がとても新鮮で非常に有意義でした。(大学院生(修士)男性)
  • 幅広い分野の研究者の方々と交流を通して、研究面だけではなく、人生面においても、自身の視野が広がり、とても勉強になりました。また来年も参加させて頂きたいです!(学部生 女性)
  • 著名な先生とご交流できること、同年代の仲間をたくさん作れたこと、質問力をトレ一ニングできたことなど、ほかの学会では出来ない事をたくさん出来て大きく成長できたと感じる3日間でした。(大学院生(修士)女性)
  • 非常に濃密な3日間だった。様々な分野の話を伺えて勉強になったし、良い交流の場にもなった。期待を超えた、有意義で楽しい講習会だった。(大学院生(博士)男性)
  • 初めての参加でしたが、同年代の研究者が日々頑張っているのを聞いて刺激になりましたし、悩みなども相談しやすかったです。(大学院生(博士)女性)

【アンケート】

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